>>中国経済現状

中国は、1990年代に年平均9%以上の撃異的な成長を遂げ、いまでも年平均7〜8%の成長を持続しています。世界各国の事情に比べ、奇跡的な成長だと言えます。2000年現在、国内総生産(名目GDP)が1兆1千ドルで世界七位。アジアの中で国民経済規模が世界のベストテン入りしているのは、日本と中国だけで、それだけ中国の存在は大きいと言えます。
  
中国という国は、漢民族を中心とした国家ですが、中国以外にも漢民族の国家・地域はあります。香港、台湾、シンガポールがそれで、特につながりの深いのは香港、台湾です。2000年における香港と台湾のGDPは、それぞれ1600億ドル、2900億ドルです。従って、中国に香港、台湾、シンガポールを加えると「中華経済圏」のGDPが1兆6350億ドルとなります。ちなみに、2000年の日本のGDP4兆4000億ドルに比べ、中華経済圏は日本の3分の1です。中国単独では、4分の1くらいです。

  1. 人口は世界一、GDPも世界第7位に位置
  2. 経済変革のために中国が進める「3つの改革」
  3. 中国企業の急成長→中国家電最大手「海爾集団公司(ハイアール)」

◆人口は世界一、GDPも世界第7位に位置

まず人口から見てみると、中国の人口は12億7000万人を超え世界第一位です。ちなみに世界最大の経済大国アメリカは2億7800万人です。さらにGDP(国内総生産)規模を見てみると、中国はアメリカや日本、ヨーロッパ先進国に次いで7位に位置します。(2000年)

【GDP規模上位7ヶ国と台湾】

アメリカ $9,996B
日本 $4,620B
ドイツ $1,922B
英国 $1,435B
フランス $1,317B
イタリア $1,081B
中国 $1,071
台湾 $321B(16位)

(単位:Billion US Dollar=約130億円)

 輸出入においては中国の輸出額は$249Bで全世界の3.9%を占め、輸入額は$225Bで全世界の3.4%を占めます。中国経済の成長率は7.5%と世界のどの国よりも高いものです。上記の数字から見ると、中国の経済規模は先進諸国と肩を並べるようなレベルになったと言えるでしょう。

 特定の工業製品についての中国の世界における市場シェアを見てみると、中国は既にこれらの製品において市場シェア一位を誇っており、次々と巨大企業が出現しています。

【中国製品の世界市場におけるシェア】

エアコン 50.1%
オートバイ 48.9%
テレビ 36.2%
洗濯機 23.5%
冷蔵庫 21.1%

 市場シェア一位となっているこれら家電製品を製造する中国企業としては、海爾(ハイアール)、美的(メイタ)、格(グーリー)が挙げられます。オートバイでは嘉陵(ジャーリン)、五洋といったローカルメーカがあります。長虹(チャンホン)はカラーテレビで世界最大の売上を誇っています。

 工業製品、特に上記のような価格競争の激しい民生品において、「中国は「世界の工場」として生産の一大拠点としての地位を確立しつつあります。

 中国の安い生産コストを利用し、日本企業の工場も中国に積極的に進出しています。中国を最もうまく利用し成功した企業のひとつは「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングと言えます。自前で商品開発や販売を手がけ、製造は中国の委託工場に任せ、中間業者を入れないためにコストを抑えることができるビジネスモデルを確立し成功しています。低価格でそこそこの品質の製品を大量に日本に供給することを可能とし消費者の支持を得ました。中国の低コスト競争力を自社のビジネスに組み込む「ユニクロ化」戦略はあっという間に日本企業に定着してしまいました。

 また、日本企業と中国企業との提携も増えています。三洋電機は「中国の松下」の異名を取る家電メーカー・海爾と提携し、家電製品の相互販売を行うことを発表しました。三洋は、海爾の販売網を使って中国で売り込みを行う一方、日本においては合弁会社を設立し、海爾ブランド製品の販売を手がけるというものです。


◆経済変革のために中国が進める「3つの改革」

1998年、日本の内閣にあたる中国国務院の首相に任命された朱ヨウ基首相は「中国のジャック・ウエルチ」とも呼ばれ、大なたを振るって中国経済の改革を推し進めています。朱ヨウ基首相は中国経済を変革するために大きな3つの改革を行っています。その3つとは「国有企業の改革」「金融システムの改革」「行政のスリム化」であります。

【改革1:国有企業改革】

 第一の「国有企業の改革」は、30万以上あり実質その70%が赤字であった国有企業に自由経済の競争原理を導入し、大胆に多くの赤字国有企業を整理しました。

 大きな赤字を出した経営責任者には一年目で警告、二年目には更迭する方針を打ちだしました。二年連続して赤字決算となった企業は閉鎖もしくは売却し、責任者はくびにするという大なたを振るいました。

 また、国有企業に対する権限と責任を中央政府から地方政府に移したことで、国有企業は上場するか地方政府の援助を受けざるを得なくなりました。これにより企業経営者の意識が大きく改革され、企業の自立と経営の自由度が高まりました。

 地方政府は税収不足・財源不足・技術力の不足から外資の導入に努力することとなりました。国営企業の改革は過去4年間で大きな成果を挙げたと思われます。国有企業は収益をあげるか、民営化するか、閉鎖するかいずれかを選択せざるを得なくなり、存続する企業は厳しい収益目標を課すかわりに人材採用の自由を与え、資本市場での資金調達が奨励されました。

【改革2:金融システム改革】

 第二の「金融システムの改革」は、国有商業銀行と国際信託会社(ITIC)が大量に抱えている負債を一掃するというものでした。国有の商業銀行は共産党幹部の口利きもあり、国営の赤字企業に資金を提供し、不良債権の総額は二兆円にも膨れ上がっていました。国際信託会社に至っては広東国際信託投資公司が1999年に倒産しています。

 「金融システムの改革」の目標は日本が今苦悩している金融機関の「不良債権処理」ですが、改革の過程で金融機関の責任者50人以上がくびにされ、不良債権処理のための資産管理会社なども設立されました。「金融システムの改革」においてはかなりの進歩が見られますが、まだ不良債権を一掃したとは言えず残りの不良債権が中国経済の不安定要因となっているようです。

【改革3:行政のスリム化】

 第三の行政のスリム化では、中央政府を合理化し政府機関の腐敗をなくすことを徹底しました。中央政府の規模は3万4000人から1万7000人に削減されました。地方政府の経済的権限・責任の強化が行われ、主要都市の長は経済成長の具体的目標の達成を北京から課せられました。この方針は、2年連続で達成できなければくびになるという徹底したものでした。未だに政府機関の腐敗は存在しているようですが、改革の中、優れた地方政治のリーダーが出現しはじめています。

 上記の改革の内容は現在の日本が行うべき改革とも共通するところがあります。新しい指導者と改革の中から登場してきたリーダー達の下、中国の経済は世界で最も高い経済成長率を達成するに至り、活力のある自律した経済に変革されつつあります。

中国家電最大手「海爾集団公司(ハイアール)」

躍進する中国企業の中には「共産主義国」というイメージとはかけ離れた欧米流の革新的な経営で目覚しい成長と遂げる企業が存在します。苦悩する日本企業が追い抜かれることも現在の状況からではそう遠い未来のことではないでしょう。今、革新的な企業経営のあり方を謙虚に中国企業から学ぶ段階にきています。ここでは中国の家電最大手企業である海爾集団公司(ハイアール)のケーススタディから進んだ企業経営を学んでみたいと思います。

中国は既に世界ナンバーワンの家電生産国にのし上がり、中国国内に止まらず、グローバルマーケットにおいても家電のマーケットシェアを急速に拡大しています。急成長する中国家電企業の中で海爾集団公司(ハイアール)は中国家電メーカーの最大手企業であります。

 海爾集団公司(ハイアール)は1984年の創業で、本社は山東省青島市にあります。資本金約50億円で従業員約3万人を誇ります。海爾集団公司(ハイアール)の業績を見ると売上高は2000年度で400億人民元([約6000億円])、利益が30億人民元([約450億円])。2001年度は前年比50%増の602億元(約72.7億ドル[約9000億円])、経常利益42億元([約600億円])、輸出額同50%増の4.2億ドル([約500億円])となっています。過去17年間の海爾の売り上げ伸び率は年平均78%に達しています。

 海爾集団公司(ハイアール)の家電製品の中国国内市場でのシェアはダントツの30%に達し、そのうち冷蔵庫31.2%、エアコン25.8%、洗濯機30.5%をそれぞれ占め、いずれも首位を走っています。冷蔵庫では世界最大の生産量を誇っています。現在、同社は中国国内を含む全世界に、貿易センター56ヶ所、デザインセンター15ヶ所、工業パーク19ヶ所、生産拠点50ヶ所、販売網5万8,000ヶ所を持っており、総合競争力評価で米「Appliance Manufacturer」誌に世界家電メーカー第9位にランクされています。ちなみに、日本の家電メーカーは松下4位、シャープ7位、東芝8位、日立10位とされています。

 海爾(ハイアール)最高経営責任者の張瑞敏氏は、日本企業から全社的品質管理を学び、米国から従業員のやる気を高める経営学を導入し、その上に中国伝来の「修養鍛練」を加えて経営の極意としており、グローバルな視点を持った実力派経営者と言われています。

 1984年に青島電気冷蔵庫と言う倒産寸前の小さな赤字企業の工場長に就任した張瑞敏氏は、全ての従業員を「試用」「合格」「優秀」の3段階に分けて業績評価し、駄目な社員はクビにし、実績を上げた者は10倍の給料を出すという実力主義を断行し、共産主義の中国では当時考えられない様な経営改革を実行しました。